2010年5月8日土曜日

【零崎人識の人間関係シリーズ】ワルぶった優等生のような不良

電車の中吊り広告に釣られてひやかしのつもりで買ったクビキリサイクルが意外に面白く、以降、戯言シリーズ本編は読み切った。

途中、個人的には息切れするところもあったが、最終的にはこの作者の趣味っぽい大団円(何人か主要登場人物死んだけど)で、面白かったと思う。

通勤の駅前に新しい本屋が出来て、朝から開いてたので寄ってみたら平積みされていたので、この「零崎人識の人間関係シリーズ」も読んでみた。

※ネタバレ含みます

まず、最初に買おうとしたのは「匂宮出夢との関係」だったが、なぜか間違って「無桐伊織との関係」を買ってしまった。

でもこれは意外と面白かった。ひたすら「最強」というものについてのアレコレが、意外にああ、なるほど、と。勝てる時に勝つのが強いんでなく、勝てそうになくても負けないのが強いんだと、まあベタな話だけど、そんなことを思わせる話。

で、次に読んだのが「匂宮出夢との関係」。

あらすじはまあ、…零崎人識との甘く切なく血みどろな恋物語。これは、単体の話としてより、本編の裏話としての楽しみになるだろうか。ああ、なるほど、こういう関係でああなっていたのか、と。




残り2冊はまとめて買った。

「戯言遣いとの関係」は、思い切りネタバレしてしまうと、肝心の戯言遣いがまったく登場しないのが残念。ただ、登場してしまっては本編と同じになってしまうので、これでいいのだろう。
代わりにこの話では、刑事の佐々沙咲が主な登場人物となる。ちょっと地味に思うが…。

「零崎双識との関係」は、これは普通にエンターテイメントだった。これまた肝心の双識はろくに登場しないのだが…感想としては、「零崎双識の人間試験」も読んでみようかと思った。


このシリーズ、本編も含め、かなり荒唐無稽もいいところなのだが、それでいて要所でなかなかリアルな人間の描写があるのが面白い。

殺す殺さないとか、そんなのあり得ないとか、そういう具体的な話の筋そのままで読むんじゃなくて、入出力的な関係で読むのがいいと思う。
一休さんが「この橋渡るべからず」の橋の真ん中を渡ったという話を読んで「通用するかよそんもん!」と突っ込むのではなく、ああ、なるほどと思える感性が必要だ。

まあ、フィクションの物語は須らくそうであろうと思うけど。