2008年10月19日日曜日

【ピーカン夫婦】文化か猥褻か

夫婦の間の倒錯した性生活をネタにしたシリーズもののビデオの第5作らしい。

と言ってもいわゆるAVではない。俺がAVを絶対に見ないとは言わないが、見たとしてもそれをこここでいちいち発表はしない。

これは・・・なんつうかピンク映画?エロティックドラマ?どう言っても、AVっぽいが、まあ、本作品はツタヤで、端っこのキッズが侵入してはいけない小部屋に隔離されているソフトではない、ということがそのポジションを語っているだろう。

ビデオのシリーズだが、この作品は劇場でも公開されて好評だったらしい。というか、その頃の寸評か何かを見かけたのが記憶にひっかかってたので借りた。




倒錯した、と言ってもいわゆるSMやスカトロや近親といったものではなく、普通は思いつきにくい性癖のこと。この作品では、青姦しか出来ない、それが好きなんじゃなくそれしか出来ないような女が登場。

人付き合いの下手なレコード会社の業界人が、内向きで非社交的な自分を変えたいと願い、変わって行くというのが話の骨子。その彼が出会い、結婚するのがその”外でしか出来ない女”なわけね。

エロシーンは数回登場するが、そう過激なものではない。むしろ、絵としてはどぎつさを除き、きれいに撮られている。とは言え、女が思い切り腰を振るような場面は、地上波のテレビでそのまま流せるレベルではないだろうが・・・。

評判通り、話は意外にも、なかなか面白い。
でも、この話からエロシーンをカットしたら、残りの話だけで楽しいか?と言われると微妙。しかし、もしもカットしたエロシーンの代わりに、メインのストーリーがもう少し掘り下げられたら、それでも十分に見ごたえのある話になるかも、とも思えた。


性に関わる物語を描くのは、なんのやましいところのあるものでもない。恋愛だって性があればこそ。キスや抱擁で終わる恋愛ストーリーにだって、暗黙の続きはあるわけで、あとはそれを画面に描くか否かだけの差とも言える。
それに、何だかんだ言っても、性衝動というのは、もっとも制御しがたい感情のひとつであり、もっとも普遍的な感情のひとつでありながら、もっとも抑圧されるものであるから、これはひとつ、何か描くには良い材料であるのは間違いないのだ。

とは言え、それを見せれば”エロ”であり、見せなければ”純情”だ。同じようなストーリーの、見せている部分が違うだけなのに。

同じ対象を見ても、見る者は全てを見ることは出来ない。そして、見る部分は人により違うから、同じ者を違うように受け取る。

そう、だから、エロシーンなど無い作品を見ても、脳内で濡れ場を補完できる人間は少なからずいるのだ。端的には、ある種の同人誌とかにそういうものを容易く垣間見ることが出来るだろう。

そしてそれが可能ならば、逆もまた可能なはずだ。

つまり、始まった瞬間から終わる瞬間まで何10分もひたすら濃厚なプレイしか無いようなハードコアなエロビデオを見て、その行為に至るまでの大恋愛を想像することもまた出来る筈なのだ。

・・・誰もそんなことしないだろうがな。俺もしようとも思わんしな。




まあ、そんなことはネタ話に過ぎないのだが、”健全な”映画と、”不健全な”映画の境界というのは、思うよりも複雑なものだと。

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